その実力はモンスター級! コンパクトスコープ・コーワ TSN-55 PROMINAR シリーズ徹底検証(① 仕様編)
発売間もないコーワのコンパクトスコープ TSN-55 PROMINAR シリーズですが、バーダーの注目度が高いですよね! そこで、従来のTSN-550 PROMINAR シリーズからどれだけ進化したのか検証してみました。
なお比較は、扱いやすい直視型同士(TSN-55S&TSN-554)で行ったため、以降はシリーズ名ではなく、型番で表示していきます。
「TSN-55 シリーズ徹底検証」と書きましたが、比較となる従来機は、見え味や携帯性、コスパの良さで定評のあった TSN-554です。
実は私はTSN-554を所有しており、おもに遠征時や撮影も交えた観察会など、少し荷物を減らしたいときに使用していました。
仕様比較表をご覧いただけでばわかりますが、TSN-554の対物レンズにも、最高級のフローライトレンズが採用されています。
フローライトレンズと言えば、カメラの高品位レンズなどに使われていることでも有名ですが、色収差を徹底的に抑え、シャープでクリアな画質を提供してくれる効果があります。
TSN-554 発売当時には、フローライトレンズ搭載のコーワスコープはTSN-880 PROMINARシリーズしかなかったので、メーカーがどれだけこのスコープにこだわりを持って設計したかがうかがえますよね。
当然のことながら、TSN-554は明るくクリアな画像を提供してくれました。
(クリックするときれいに表示されます)
TSN-554とiPhoneで撮影したスマスコ画像
新登場したTSN-55S も同様に、対物レンズにはフローライトレンズが採用されていますので、最高の画質が期待されます。
まずは写真で、全体の形状を比較してみます。
上が新型のTSN-55S、下が従来のTSN-554ですが、全体のフォルム、フードの形状、ピントリングのデザインなど、TSN-55S はTSN-554のコンセプトをまちがいなく踏襲しているようです。
両者の違いで目を引くのは、接眼レンズの太さの違いですね。
つぎに、仕様表でいくつかポイントを比較してみましょう。
フローライト採用の対物レンズ径は同じで、直径55mmです。
倍率はTSN-554の15-45倍ズームに対して、TSN-55Sは17ー40倍ワイドズームとなっています。
倍率的には最低倍率がやや上がり、最高倍率はやや下がりましたが、フィールドでは大きな差ではありません。
それよりも気になるのは、ズームレンズに”ワイド”表示があること...。
それを裏付ける項目を赤枠で示したのでご覧ください。
実視界では、TSN-554の2.5-1.3°が、TSN-55Sでは3.64-2.0°に広がっています。
同じように、1,000m先の視界が、TSN-554の44-23m が、TSN-55Sでは64-35mになっています。
TSN-55Sの64-35mというのは、倍率が最低の17倍の時、1000m先の見える視界の幅が64m、倍率が最高の40倍の時にも同様に35mということなのですが、TSN-554の44mが倍率15倍の時であることを考えると、カタログの数字以上に視野の広さに差があるのだと思います。(フィールドでの検証が楽しみです)
最短合焦距離も、TSN-554の3.0m が、TSN-55Sでは2.8mに短縮されました。
高倍率のスコープが3mを切る近距離でもピントが合うので、近づけない植物などをドアップで見るにも便利ですね。
若干ですが、アイレリーフもさらに伸び、眼鏡使用時の使い勝手も向上しています。
明るさや薄暮係数などについては、対物レンズ径と倍率で計算される値なので、接眼レンズの倍率が変わった影響で多少変化しています。
これも、それほど気にする必要はありませんね。
全長では、新型のTSN-55Sの方が13mm短くなっていますが、重さは逆に、TSN-55SはTSN-554の20%増となっています。
従来機よりも重くなった要素として、全体の形状でも触れた接眼レンズの太さの違いが考えられます。
これを別のカットで比べると、接眼レンズのレンズ面が大きくなっていることに気づきます。
実はTSN-55Sの接眼レンズには、特殊低分散性をもつXDレンズを、なんと贅沢に2枚も採用しているのです。
対物のフローライトレンズとの組み合わせで、どれだけ鮮明な画像が提供されているのか楽しみですね。
さあ、フィールドで検証していきましょう!
・TSN-55S(直視型) スコープ
・TSN-55A(傾斜型) スコープ
※ TSN-554 スコープ
TSN-554は、2024年8月31日までのコーワプレゼントフェアの対象アイテムとなっており、お得にお求めいただけます。
進化型のTSN-55Sが登場しましたが、基本性能やコスパでみれば、まだまだ現役で活躍してくれしますよ。
(...フィールドでの検証編につづく)
« ロッキー松村レポート 中村利和氏写真展「にっぽんのとりⅡ」~美しき鳥たちの肖像~ | トップページ | その実力はモンスター級! コンパクトスコープ・コーワ TSN-55 PROMINAR シリーズ徹底検証(② フィールド検証編) »
「インプレッション」カテゴリの記事
- その実力はモンスター級! コンパクトスコープ・コーワ TSN-55 PROMINAR シリーズ徹底検証(② フィールド検証編)(2024.08.04)
- その実力はモンスター級! コンパクトスコープ・コーワ TSN-55 PROMINAR シリーズ徹底検証(① 仕様編)(2024.08.03)
- OM-1でデジタルテレコンを使ってみました(2024.02.23)
- OM-1で春を感じてきました...(2024.01.28)
最近のコメント