野鳥界隈からCP+(シーピープラス)2024を振り返って
今年もカメラと映像の祭典「CP+(シーピープラス)2024」を見にパシフィコ横浜にやってまいりました。
2月22日(木)~25日(日)まで開催されていましたが、初日の会場前は長蛇の列でした。
それでは、バードウォッチング・野鳥撮影の視点から各メーカーの新製品を中心に、見て行きましょう。
まずは、巨大なプラレールのジオラマから(鳥じゃない)。子供に見せたかったなぁ…
OM SYSTEM
3月発売予定の「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」の実機も展示されていました。ズームを望遠端まで伸ばすとそれなりに長い印象ですが、カメラ側にバッテリーグリップを付けるとバランス良く感じました。
焦点距離600mmですと、35mm換算で1200mm相当の画角で撮影でき、2倍テレコンを付ければ、焦点距離1200mm、35mm換算2400mm。そこに先日ご紹介したデジタルテレコン機能やハイレゾショット機能を使えば…一体どんな画像が撮れるのか、夢が膨らみます。
OM-1 MarkⅡは、OM-1からAF性能や手振れ補正の性能向上が謳われています。会場では新型の150-600mmはもちろん、150-400mmなどの各望遠レンズにセットされているので、壁面モニターに映された野鳥の動画を狙いながら、AFの挙動を確かめることができました(上の画像のコゲラの顔をしっかりと枠が捉えています)。
OM-1MarkⅡの改善ポイントの1つ前後ダイヤルのエラストマー加工はかなり有効で、咄嗟の露出補正でダイヤルが滑って回しづらい感覚が改善され、好印象でした。
操作性: 撮影時のゴミ箱ボタンでのメニュー操作に対応し、右手でのメニュー操作を可能にする操作性の向上
ハクバ(スワロフスキー)
スワロフスキーの注目はなんと言っても「AX Visio 10x32」ですね。観る・撮る・調べる・共有するが1台で楽しめてしまうという、夢のような次世代の双眼鏡の登場です。
■観る
フィールドフラットナーレンズによる視界は周辺視野まで抜群の解像度で、双眼鏡としてトップクラスの性能。
■撮る
ボタン操作で視界をそのまま撮影、スマートフォンに保存できます。さらに動画も撮影可能(音声は記録不可)で貴重な瞬間を観察しながら残せる。
■調べる
アプリとの連動で"9000種類"もの野鳥や動物が双眼鏡を覗いたまま識別できます。
■楽しむ
観測対象にマーカーを付け、同行者と発見を共有できます。さらにコンパス機能を内蔵し視界の中で方位や傾斜角の確認が可能です。
32mm口径にしては分厚い筐体ですが、この中にいろいろな機能が詰め込まれていると思うと、このサイズ感も納得です。
双眼鏡にあるまじき後ダイヤルが異彩を放っていますが、このダイヤルを変えるだけで観察モードと撮影モード等切り替えることができます。
ちょっと上手く撮影できませんでしたが、ファインダーを覗くとマークが表示され(2段階で大きさを変更可)、〇印の中に鳥を捉えてボタンを押すと、下側に英名が表示される仕掛けです。
実際にどの程度の距離で種名を認識できるかは、フィールドに持ち出して確かめる機会が必要だなと感じました。
もうひとつの新製品「VPA2」もチェックしてきました。
初代のVPAと比べて格段に操作性が向上していました。横幅はスプリングで簡単に挟み込み、カメラの位置は1つのノブを緩めれば上下左右調整できるようになっています。
スコープや双眼鏡への取付もクリップ式で簡単に装着できました。
レオフォト
レオフォト製品を扱うワイドトレードブースでも人気が出そうな新製品が展示されていましたよ!
まずは、ザハトラーのAceシリーズに外観も仕様もそっくりなビデオ雲台「FH-10」です。
フラットベースではなく、ザハトラーと同じ75mmのボール状になっているので、LM(サミット)シリーズの三脚にマッチします。
パンとティルトのフリクション調整ダイヤル(3段階)やカウンターバランスのダイヤル(8段階)も装備しています。ザハトラーと異なるのは、プレートの形式がいわゆる「アルカスイス互換」というタイプである点です。
水準器もボタンを押すと白色に点灯しました。
気になる重量は1.7kg。耐荷重重量は8kgまでですが、触った感覚としては、150-600mmクラスの超望遠ズームや800mmF6.3クラスの超望遠レンズにマッチするのかなという印象。
パン・ティルトとも動きはなめらかでした。
小型・中型のスコープをお使いの方にピッタリなビデオ雲台がこちら「BV-0R」です。
「BV-1R」の弟分にあたる機種で、バネの力が弱い分小型のスコープでも快適に使えそうです。
自重がなんと346gと超軽量!耐荷重3kg。荷物を軽くしたい小口径スコープユーザーさんの定番になりそうな予感。
サイトロン
「EDレンズ搭載の防振双眼鏡はないの?」と言い続けていたら、ついに登場しました!
14倍のSII BL 1450 ED STABILIZERと18倍のSII BL 1850 ED STABILIZERが今年夏頃リリース予定!
レンズ口径は50mmとかなり大型で、42シリーズと同じ中央が欠けた円形のレンズを採用。
円形じゃない分加工が難しいんだとか。
42シリーズ(左)と比較すると、かなりゴツイ見た目ですが、持ってみると想像以上に「許容範囲かな」という印象です。
覗いてみても確かにクリアな見え味です。これは夏が来るのが楽しみです。航路バーダーさんは要チェックですね。
ケンコートキナー
野鳥カメラマンのカメラバッグの定番サンクチュアリシリーズが一新しました!
なんと、「写真集 鳥の肖像」でもお馴染み中村利和氏監修モデルの登場です!!
ロゴはもちろんミソサザイです。
たしかに、600mm F4と100-400mmを同時に収納できちゃうカメラバッグって意外となかったですよね。
100席以上の航空機であれば、ポーチ類を外せば持ち込みできちゃうのも重要なポイントです。
RK260シリーズもソニー200-600mmがカメラボディ+2倍テレコン付きで入るように高さが増量されています。
別売りオプションのポーチ類を側面に取り付けできるように進化しました。
SIGMA
ソニーユーザーの方は、「これこれこういうレンズ待ってたんだよー!」と思った方も多いのではないでしょうか。
片手でも軽々持ててしまう自重1,370gの500mm超望遠レンズの登場です。
「500mm F5.6 DG DN OS | Sports(シグマ公式)」です。
500mm F5.6 DG DN OS | Sports
なんと加工難度の高い大口径の特殊低分散ガラスを複数枚採用することで、回折光学素子を使用することなくレンズ構成の大幅なコンパクト化を実現しているそうです。
フードを外すと明らかにコンパクトで、めちゃ軽い。そして単焦点である分解像度の高さにも期待が持てます。
三脚座がアルカスイス互換なのも嬉しいポイント。
残念な点は、ソニーEマウント用はテレコン非対応で、連写速度も15コマ/秒の制限がありますが、これは仕方のないところ。
SONY
ソニー純正の望遠レンズ「FE 300mm F2.8 GM OSS」も来場者の注目の的になっていました。おもしろいことに、雲台にセットされた超望遠レンズコーナーよりも、「実際に持たせてほしい!」という体験コーナーで争奪戦になっていました。
文一総合出版
3月1日発売予定の「BIRDER SPECIAL お手本でわかる!野鳥撮影術」が、CP+で先行販売してましたよ!
私も導入部分の「機材の選び方、おすすめ設定、基礎設定、事前準備」の項目で執筆させていただいてます。
おもしろいのは、各カメラマンさんのお手本写真を見ると、「あっこれは○○さんの作品だ!」と分かるところ。
自分の色や作風を創るヒントが詰まった今までにないタイプの指南書になってますよ!
というわけで、かなり偏った報告でしたが、今後の新製品の発売が楽しみですね。
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