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海鳥北上期の大洗苫小牧航路探鳥ツアー(復路探鳥編)

※本記事に登場する「オキノタユウ」、「コオキノタユウ」、「クロアシオキノタユウ」の表記は、それぞれ「アホウドリ」、「コアホウドリ」、「クロアシアホウドリ」が正式な和名になります。「オキノタユウ」の表記の理由につきましては、「往路探鳥編」をご覧ください。

昨夜の10時過ぎに乗船して、苫小牧出港は1時30分でした。いつもより早起きして日の出前から航路探鳥を始めました。

往路ではオキノタユウ幼鳥を見ることは出来ませんでしたが、復路では念願叶いますでしょうか?
復路航路探鳥編をお読みになってみてください。

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はるか苫小牧を後にして復路航路探鳥の始まり...


大洗苫小牧航路ツアーは船内2泊のみの3日間弾丸日帰りツアーでした。

同じ船を折り返しで利用しましたので、大きな荷物は苫小牧下船時に船内に預けることが出来ました。

北海道上陸時は身軽に貴重品だけ持ち歩きました。短い上陸時間でしたが、楽しく過ごしました。


Photo_20220724112501フェリーターミナルで海鳥識別講座


北海道土産を買ってフェリーターミナルに戻り、出港までの待ち時間は、新海鳥ハンドブック著者の箕輪義隆さんから海鳥識別講座をお聴きしました。

往路で撮影された海鳥の写真を使われた識別講座は大変分かりやすく、実際に一緒に見ていた鳥ですから頭の中にすっと入って来ました。

22時を過ぎてチケットを受け取り復路のさんふらわあだいせつに乗船しました。

荷物を受け取って、部屋に入りベッドの上で明日の準備をしてから明朝の日の出時間を調べると、なんと4時5分でした。

さすが北海道、緯度経度が違います。スマホの目覚ましを3時30分にセットしてベッドに横になりました。

Photo_20220724112701日の出前の海に雨が降り


寝不足確定で明るくなり始める前に起きて、何か出ないかと期待して誰よりも早く甲板に出ました。

薄明で鳥が見えると思っていたけれど、どんよりと暗い空からポツリポツリと落ちてくるものがありました。

雨が降ってはデッキに椅子を出せません。仕方なく雨の当たらない屋根の下からウォールにもたれ暗い海上を帆翔する海鳥を探し始めました。

日の出を過ぎ徐々に明るくなるにつれて他の参加者がデッキに現れ、海鳥も増えて来ました。

航路探鳥ツアー3日目復路は下北半島尻屋崎沖を通過した5時から始まりました。雨もいつしか小止みになり、降ったり止んだり濃い霧がかかったりお天気は目まぐるしく変わりました。

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防振双眼鏡で観察


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フジノン防振双眼鏡


北海道はさすがに寒く、持って行ったダウンと服を全て着こんで、その上からカッパを着て観察していました。

下北半島にかかる頃からミズナギドリ類が増え始めました。

その中にヒレアシシギや黒いミズナギドリやコオキノタユウ、クロアシオキノタユウが浮かんだり飛んだりしていました。

そしてその時は突然やって来ました。

特別ゲストの箕輪さんがフジノン防振双眼鏡をお持ちになられていて、それをお借りしてのぞいている時でした。

船の下からふわりと浮いて来た真っ黒な大きな塊が視界に入って来ました!!

防振双眼鏡にとらえたその姿は紛れもないオキノタユウ幼鳥でした。船の後方に消えるまで追い続けました。

ブレずにとらえたその姿は正に真っ黒、くちばしのピンク色が鮮やかで、黒い羽の一枚一枚が手に取るようでした。

防振双眼鏡の実力に改めて驚きやっぱ買うっきゃないと思った瞬間でもありました。

ホビーズワールドで各種防振双眼鏡を取り扱っています。航路探鳥には防振タイプがおすすめです。

Hobby's World(野鳥撮影やバードウォッチングの専門店 )

 

今回ツアー参加の最大の目的は鳥島を巣立ったオキノタユウ幼鳥に出逢うことでした。

鳥島から直線距離で1,300kmくらいでしょうか?

オキノタユウは風に乗れば羽ばたくことなく時速100km/hくらいで飛んで来るでしょうから、鳥島からまっすぐに来れば13時間くらいでしょうか?
途中でお腹空いてご飯食べたりすればもう少しかかるのかもしれませんね。

鳥島で親鳥からたくさんのイカなどの餌を貰って親鳥よりも大きく育ち、体重ゆえに飛び立てないのだけど、親鳥が先に旅立ち一人巣に残こされて、幼綿羽が全て抜け落ち真っ黒な新しい幼鳥の羽に生まれ変わります。

何も食べずに何日も痩せるまで待ちながら、風に乗り羽ばたく練習を繰り返し、そしてついに鳥島を旅立つ日が来て、親鳥を追いかけて大海原に飛び立ちます。

そんなオキノタユウ幼鳥を見えなくなるまで防振双眼鏡の中央にとらえ追い続けた忘れることの出来ない瞬間になりました。

今年は鳥島で999羽のオキノタユウのヒナが育ちました。約1,000羽の幼鳥が鳥島を巣立ちアリューシャン海域目指して大海原を旅しています。

何処までも広い海の上でその中の1羽に巡り合えた奇跡でした。

出逢えた奇跡と飛び立つまでの苦労やひとりぼっちで大海原を旅して来たことなどを思うと涙があふれて止まりませんでした。

ビールを買って来て無事な旅路を祈って祝杯をあげました。

長谷川博先生が鳥島でオキノタユウたちの無事を願って飲まれた温かいビールはどんな味だったろうと想像しています。

先生の長年の活動があればこそオキノタユウの数が増えて、航路探鳥ツアーでの目撃例も増えています。

真っ黒な幼鳥との出会いは、長谷川先生がビールを2杯飲まれた時の喜びを実感する思いでした。

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クロアシオキノタユウの群れ

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ごく若いオキノタユウ


ビールでお祝いしながら下北半島を過ぎて岩手県に入りリアス式海岸の崖を見ている時でした。

クロアシオキノタユウの群れがいくつも浮かび、その中の一つの群れの中にごく若いオキノタユウを見つけることが出来ました。

浮かんでいる姿をじっくりと見て、カメラで追っていると海面から飛び立ちました。

目の周りが白くなりお腹側も少し白くなりかけて3年目と思われました。

ごく若いオキノタユウのしかも飛び立ちの写真を撮ることが出来てさらにうれしくなりました。当然のことながらまた一本開けたのは言うまでもありません。(笑)

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無賃乗車のお客さま


本州最東端の魹ヶ埼(とどがさき)を過ぎて少し経った頃でした。

何処からともなくハヤブサがやって来て、操舵室上のアンテナで一休みしていきました。

大海原を渡っているのは海鳥ばかりではありません。

多くの鳥が海の上を飛んでいます。船はとまるところのない海の上で鳥たちの休憩所になっています。

航路探鳥の時には海上ばかりでなくたまには船上に目を向けて見るのも楽しいと思います。

このハヤブサは目の前に見えた断崖絶壁で狩りをして海上に飛び出しそのまま沖にいた船に来たようでした。気が付いた時には飛び立っていました。

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シロエリオオハム


魹ヶ埼灯台を過ぎて三陸沖など見ながら絶えず飛ぶミズナギドリ類の中にトウゾクカモメ類やアビ類などを見ながら金華山沖へと近づくとそれは始まったのでした。

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20万羽の金華山マジック


船が進む方向から絶え間なく飛び出してくる黒いミズナギドリ類にオオミズナギドリが交ざり、さらにそこにクロアシ・コ・を含めた3種のオキノタユウ類が交ざり、ウミウとヒメウにトウゾクカモメ類が交ざる一大混群が海面を埋め尽くしました。

切れ目なく群れ飛ぶ姿は正に海鳥マジック夢のような2時間になりました。

その数はカウントされた箕輪さんによればなんと約20万羽!!

金華山マジック YouTube動画リンク:https://youtu.be/sg9LlAAdLt4

アリューシャンマジックならぬ、ゴールデンフラワーマウンテン(金華山)マジックでした。

40年航路探鳥を続けられている特別ゲストの宮島さんでもベスト3に入るだろうとのことでした!

そんなスゴイ時間を航路探鳥2回目で経験してしまいました。ビギナーズラックというやつでしょうか?

素敵な時間をご参加の皆さまと共有することが出来て本当に幸せでした。

言うまでもありませんが、また一本開けてしまいました。

金華山沖から1時間半が経ち鳥の出が落ち着いて来た午後3時で今回の航路探鳥は終了しました。

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荷物を片付けてお昼寝


荷物を片付けて大洗港到着まで一眠りしました。睡眠4時間を切っていたので、かなり揺れたということですが、ビールも効いてぐっすりと眠りこけてしまいました。

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本州に沈む夕陽


18時過ぎて起きた時にはきれいな夕陽が沈んで行くところでした。

喫煙所前のスペースに集まりトラベルイヤホンを返却して、ツアー中の健康チェックリストを提出しました。

復路で見られた鳥の鳥合わせをして、アルパインツアーの石田さん、特別ゲストの宮島さん、箕輪さんからそれぞれご挨拶と講評を得てツアーは終了しました。

素晴らしいご縁に感謝して3人に惜しみない拍手を送りました。

19時過ぎに大洗港に接岸して下船、帰りはお友達の車で駅まで送っていただきました。

途中夕飯を食べて茨城のお土産を買って家路につきました。

復路では幼鳥2個体と2年目と思われる個体と3年目と思われる個体と成鳥が1羽の、5羽のオキノタユウと出逢うことが出来ました。

コオキノタユウも20羽近くクロアシオキノタユウに至っては50羽を超えていたのではないでしょうか?

今回ツアー参加の最大の目的は鳥島を巣立ったオキノタユウ幼鳥に出逢うことでした。

オキノタユウ幼鳥2羽と出逢うことが出来た奇跡!

金華山マジックと呼んでいいのじゃないかと言えるくらいの海鳥の大群との遭遇!

そして、目の前で今見ているアビ類やミズナギドリ類やトウゾクカモメ類を、新海鳥ハンドブックを著された箕輪さんから識別ポイントなど直接教えていただけたこと!

忘れることの出来ない特別な航路探鳥ツアー参加になりました。

復路での観察種、シロエリオオハム、オオハム、コオキノタユウ、クロアシオキノタユウ、オキノタユウ幼鳥~成鳥、フルマカモメ、オオミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、アカアシミズナギドリ、ヒメウ、ウミウ、アカエリヒレアシシギ、ハイイロヒレアシシギ、ウミネコ、オオセグロカモメ、オオトウゾクカモメ、トウゾクカモメ、シロハラトウゾクカモメ、クロトウゾクカモメ、ウミスズメ、カンムリウミスズメ、ハシブトウミガラス、ハヤブサの24種

トラベルイヤホンの案内もありすべての種を観察することが出来ました。

もちろん自力発見もありました。往路でオキノタユウ成鳥を自分が見つけたことは、ちょっと自慢かもしれません。

アルパインツアー鳥の観察会ツアー報告記事

【ツアー報告】海鳥北上期の大洗~苫小牧航路 2022年5月20日~22日 | ネイチャリングニュース (naturingnews.jp)


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ガイドの皆さまと記念撮影

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コオキノタユウ

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ハシブトウミガラス

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ハシボソミズナギドリ


そして、今、防振双眼鏡をいかに妻にバレないように手に入れようか画策中です。安いものではないのでどうしようか迷っているところでもあります。でも、今回のようなウルトラマジックを経験してしまうとすでに航路探鳥沼にどっぷりとハマっているのは間違えようのない事実なので・・・(笑)

次はどの航路に乗ろうかと楽しみが増えました。

皆さまにも強くお勧めするところです。

さんふらわあは大型フェリーですので、それほど揺れることも無く楽しめると思います。海鳥との忘れられぬ出逢いが待っています。

今回ツアーでお世話になりましたアルパインツアーサービスの石田さまに御礼申し上げます。また特別ゲストの宮島さま、箕輪さまにも御礼申し上げます。

おかげさまで素晴らしい航路探鳥の旅になりました。ありがとうございました。

 

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ロッキー松村


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