海鳥北上期の大洗苫小牧航路探鳥ツアー(往路探鳥編)
オキノタユウに憧れて、昨年は小笠原ツアーに参加しました。
聟島の繁殖地を見て来たのですが、今回は鳥島を巣立った真っ黒なオキノタユウ幼鳥を見てみたいと思い、海鳥北上期の大洗~苫小牧航路探鳥ツアーに参加して来ました。
人生2回目の航路探鳥の様子を写真日記風に、航路探鳥をしてみたいという方のために船内案内なども含めて書いてみました。
少し長いので前後編でお届けします。ご覧になってみてください。
まずは前編の往路大洗~苫小牧航路探鳥編
月金で仕事をしているので、金曜夜出発日曜夜帰着の週末利用で、鳥島を巣立ったオキノタユウ幼鳥に出逢えそうな時期に開催されたアルパインツアー 鳥の観察会さまの今回のツアーはとても魅力ある企画でした。
いわゆる弾丸日帰りの航路探鳥ツアーは初めての参加でした。ドキドキ感動の航路探鳥などなどご報告させていただきます。
アルパインツアーサービスさまでは、11月18日から、トウゾクカモメを狙った大洗苫小牧航路探鳥ツアー「トウゾクカモメのピーク 晩秋の大洗~苫小牧航路 3日間」が予定されています。
【ツアー紹介】2022年11月18日発 トウゾクカモメのピーク 晩秋の大洗~苫小牧航路 3日間 | ネイチャリングニュース (naturingnews.jp)
「オキノタユウ」って何?とお思いの方がいらっしゃると思います。
正式和名はアホウドリです。昔は、鳥島で島に雪が積もったように真っ白になるほどの数で繁殖していました。
アホウドリは身体が大きいので多くの羽毛が採取出来ましたので、何百万羽と撲殺されてしまいました。むしられた羽は外貨獲得のために輸出され羽根布団などに加工されました。
風上から風下に追われたり、斜面を下から追われたりすると、身体の大きさゆえにすぐに飛び立つことが出来ませんでした。
また、絶海の無人島の天敵もいない場所で繁殖していたために、人を恐れることなく逃げずに簡単に捕まえられ殺されてしまいました。
そんなことからバカドリとかアホウドリと呼ばれていました。それがそのまま和名になってしまった悲しい歴史があるわけです。
一時は絶滅したと考えられていましたが、奇跡的に人が近寄ることが出来ない鳥島の急峻な斜面でごく少数が繁殖していることが発見され、保護活動が始まりました。
アホウドリの保護活動を長年続けられた長谷川博先生が、鳥への尊敬も尊厳もないアホウドリという蔑称ではなく、山口県の日本海沿岸部で古くから呼ばれている ”オキノタユウ (沖の太夫、沖にすむ大きくて美しい鳥)”こそふさわしい名前だと、改名を提唱されています。
自分も、尊敬する長谷川先生に倣ってオキノタユウと呼びたいと思っているわけです。大海原を羽ばたきもせず帆翔する姿は神々しく本当に美しいです。オキノタユウこそ、この鳥にふさわしい名前だと思っています。
ツアーの集合場所は茨城県の大洗港フェリーターミナルでした。車を持っていないので、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の大洗駅を利用しました。
初めて降りる駅でしたので、ガールズパンツァーの看板や駅前のモニュメント、歩道上のマンホールキャップなどを見ながらゆっくりと歩きましたが、フェリーターミナルまでは20分くらいでした。
22時30分の集合時間前にフェリーターミナル2階の集合場所に上がると、すでに皆さんお揃いで自分が最後でした。
自分のように電車で駅から歩いた人は少ないようで、多くの方が車で来られていたようです。
フェリーターミナルには利用者のための無料駐車場があります。
ツアーの受付をすませ、ガイドさんとスペシャルゲストさんからのご挨拶を受けて航路探鳥ツアーの始まりです。
体調チェックシートや翌日の予定などのレクチャーと、ツアー中に使用するトラベルイヤホンの使い方と接続テストなどを行いました。
チケットを受け取り、いよいよ乗船です。フェリーターミナルと港に接岸している「さんふらわあ」は、長いボーディングデッキでつながっています。風や雨の日でも安全に船に乗ることが出来ます。
ツアーは新型コロナウィルス感染拡大防止に配慮して、4人定員のカジュアルルームを2人でゆったりと利用しました。ベッド毎につけられたカーテンを閉じればプライバシーも万全です。
大きな荷物棚と小さな網棚、照明器具とコンセントが一つ付いてました。ベッドには毛布が1枚と洗いたてのシーツとカバーがかけられた枕もあり、ゆったりと寝られました。
ベッドの棚に荷物を置いて、いつもならとっくに寝てる時間だけど、とりあえずうれしいのと初乗船を祝して一人乾杯しました。
船内ホールには自販機コーナーと電子レンジがあります。自販機はコーヒーやジュースにビールもあります。レンチンタイプのお弁当とカップラーメンもあります。
深夜便は食堂が無いので船内での食事は、船に乗る前にコンビニなどで調達して持ち込むか、この自販機コーナーを利用することになります。
同じデッキフロアに展望風呂とサウナもあります。
翌日の準備をして、スマホの目覚ましをかけてベッドに横になりました。さんふらわあ船内について詳しくは、商船三井フェリーのサイトをご参照ください。
商船三井フェリー | 船の紹介(深夜便) (sunflower.co.jp)
ツアーの予定は、7時の金華山沖から航路探鳥開始ということでした。
普段朝6時から仕事をしているので、いつものように日の出とともに起きだして、一人航路探鳥を始めました。お友達によれば7時までは鳥も出ないよ。とのことでしたがやはり見てみるもので、ほどなくオオミズナギドリ祭りが始まったのでした。
オオミズナギドリは航路探鳥では普通種でしょうか?薮内先生の挿絵が素敵な「冒険者たち」をお読みになったことはありますでしょうか?テレビアニメのガンバの冒険と言えばもうお分かりですね。
ガンバを助けるオオミズナギドリのツブリの印象もあり、自分は帆翔する姿に惚れこんで好きな海鳥の一種です。
御蔵島の日本最大(世界最大)の繁殖地が、野良猫の捕食により島から姿を消そうとしているという話を聴いているのでよけいですね。
オキノタユウも含まれるミズナギドリ類は大好きな海鳥たちです。
深夜便利用の航路探鳥は、日の出前から日没後の暗くなるまでの長丁場なので、自分は折り畳み椅子をデッキに出してゆっくりと背もたれに寄りかかって双眼鏡をのぞいています。
手摺りフェンスがあるので見づらいと思われるかもしれませんが、目線の高さには横棒がないので、観察には支障ありません。
またフェンスの隙間から写真撮影も可能です。荷物はエコバックなどにまとめてS字フックでフェンスや手摺りなどにぶら下げておくと便利です。
自分がエコバックに入れていたのは、予備のバッテリー、レンズクリーナー、おやつと海鳥ハンドブックです。
スーパーバックやお菓子の包装などのビニール袋類の飛散は、即海洋汚染につながるので十分な注意が必要になります。
航路探鳥ではいつ何処で何が出るか分かりません。出来るだけ長い時間、沖の鳥を見続けるために、お腹がすいたらカップラーメンを食べていました。
椅子を立ってトイレによって自販機でカップラーメンを買ってお湯を入れてデッキに戻れば、ちょうど食べ頃です。
海鳥を見ながら食べるカップラーメンは格別でした。
見た鳥をその場で比べて識別するのに、ホビーズワールドオリジナルの「海鳥リーフレット」は今回も役立ちました。
背面とお腹面のパターンや全体的な色などを見比べられるので、一目で海鳥の特徴がつかめるリーフレットは良いと思います。あとから復習で新海鳥ハンドブックを見れば間違いないですね。
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今回の航路探鳥ツアーには、新海鳥ハンドブック著者・箕輪義隆さんがスペシャルゲストとして乗船されていました。
今回ツアーに参加しようと思った理由の一つでもありました。
直接海鳥についてお話をお伺いする機会はそうないので、貴重な時間になりました。
ツアー中は一緒に海鳥を見ていますので、海鳥を見たその場で識別点などハンドブックを使いながら分かりやすくご説明いただきました。
また、航路探鳥中はトラベルイヤホンを付けているので、ガイドさんから海鳥の種類と出ている方向、距離が実況されています。
これを聴くことによって何処に何が出ているのか分かりますので、見逃しが減ると思います。
鳥見の醍醐味はみんなで同じ鳥を見て感動を共有することだと思っています。トラベルイヤホンは、ガイドさんから離れていても情報共有していただけるのが素晴らしいと思います。
たくさん飛んでいる時には、ガイドさんがどの鳥のことを言っているのか分からないといけませんが、海鳥が次々と飛んで現れるので何回か聞いているうちにすぐに慣れると思います。
鳥が見えている方向については、船の進行方向、船首側を12時として右舷側正面を3時、後方、船尾側を6時と、時計を水平に置いた時の文字盤で表します。12時になになに、今3時方向、6時に消えたという感じで聴こえて来ます。
また、水平線の上とか水面とか近いとか遠いとか距離感も伝えてくれますので、見つけやすいと思います。
金華山沖近くなるといよいよ海鳥の種類が増え始め、コオキノタユウ、クロアシオキノタユウがポツポツと浮かんだり飛んだりし始めました。
黒いミズナギドリ類やヒレアシシギの群れが浮かんでいる中に船が走って行き、群れが飛び立つさまを見ました。
トウゾクカモメ類も4種が見られ、クロトウゾクカモメが出ている時でした。
ガイドさんからはクロトウゾクカモメをトラベルイヤホンで教えていました。
自分はトウゾクカモメを追いかけずに、クロアシオキノタユウと一緒に浮かんでいるオキノタユウを見つけて観察し、「オキノタユウ成鳥!」と他の観察者とガイドさんに教えました。
ツアーガイドさんより先に見つけて、やったねという思いでした。そして何よりもオキノタユウ成鳥に出逢えた喜びでいっぱいでした。自販機でビールを買って来て祝杯を上げたのは言うまでもありません。
自分の鳥見スタイルは、観察メインでまずはじっくりと見てしまうので、カメラを持つのが遅れてしまい今回の旅でもオキノタユウ成鳥の写真を撮ることは出来ませんでした。次こそは証拠写真を残したいなと思っています。
往路では真っ黒な幼鳥個体を観察することは出来ませんでしたが、ごく若いオキノタユウから写真の若いオキノタユウと成鳥のオキノタユウ、あわせて7羽を観察することが出来ました。
コオキノタユウも10羽+、クロアシオキノタユウは20羽+観察出来ました。
下北半島沖を過ぎて鳥の出が少なくなった15時頃に観察を終了しました。航路探鳥ツアー2日目の往路を終え苫小牧到着までの時間を利用して一眠り、早起きで4時間ほどと睡眠不足だったので2時間の上乗せは大きかったですね。
苫小牧到着は19時45分、乗って来た便でそのまま折り返して帰るので、北海道上陸のわずかな時間を利用して、お友達とタクシーでお寿司屋さんに行き、美味しい生ビールと旬のお寿司をいただきました。
<往路での観察種>シロエリオオハム、コオキノタユウ、クロアシオキノタユウ、オキノタユウ若鳥~成鳥、フルマカモメ、オオミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、アカアシミズナギドリ、ヒメウ、カワウ、ウミウ、ダイサギ、アカエリヒレアシシギ、ハイイロヒレアシシギ、ウミネコ、オオセグロカモメ、アジサシ、オオトウゾクカモメ、トウゾクカモメ、クロトウゾクカモメ、シロハラトウゾクカモメ、ハシブトウミガラス、ウミスズメ、カンムリウミスズメ、ウトウ、ツバメの27種でした。
復路編に続く...
ロッキー松村
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