バードトレッキング!大山山麓はクロツグミの楽園!
神奈川のほぼ中央、伊勢原に住み始めて1年が過ぎました。
今までは夏鳥を求めて標高の高い高原の方へ遠征していましたが、ふと地元の丹沢にも夏鳥がいるのではないかと思い、手始めに伊勢原の象徴とも言える大山に登ってみることにしました。
なんとそこにはオオルリやキビタキ、長野に遠征してもマトモに見られなかったクロツグミのさえずりが響き渡っていたのでした。結局味をしめて5月だけで三度も大山詣でをしてしまいました。
以前にも大山登山の経験はありますが、ケーブルカーで下社まで登り、下社から大山山頂までのルートは大変な割にあまり探鳥的に面白味のない印象でした。
そこで、ケーブルカーに乗らず、鳥的に良さそうな沢沿いを女坂ルートで下社まで登り、下社からは山頂に行かず、山腹を横切って見晴台へ、見晴台からは日向渓谷へ降りて日向薬師のバス停に行くか、また元来た道を下社まで戻り、疲れていればでケーブルカーで下山というルートが良いでしょう。
小田急線の伊勢原駅を北口に下りて、神奈中バスの大山ケーブルカー行きに乗車、30分ほどで終点の大山ケーブルカーバス停に着きます。
トイレを済ませたら、左手にカワガラスやキセキレイが遊ぶ渓流を見ながら登って行き、お土産物屋がならぶ参道を通って、ケーブルカー駅の手前まで登ります。ケーブル駅には行かず、まっすぐ階段を登って左の女坂を進みます。男坂も太い樹が多く、良い環境ですが、登りが急なので、利用するなら下山ルートにした方が無難です。
■女坂に入った途端、オオルリ、クロツグミのさえずりが!
ケーブルカー駅から中間地点の大山寺までの道のりは、沢沿いの登り坂を進みます。女坂に入ると沢を代表するオオルリやミソサザイのさえずりがさっそく聞こえてきます。
5/29に登った時にはトラツグミの「ヒィー」というさえずりも聞こえてきました。
左手に墓地がある辺りでは、人通りが少ない時にはクロツグミが道端で採餌していることもあるので要注意です。
斜面からはひょっこりニホンジカが顔を覗かせていることもあります。
■爪切り地蔵の辺りで静かに待ってみよう!
石段を登って行き、爪切り地蔵がある辺りは、夏鳥ポイントです。沢沿いの林内でオオルリやキビタキが水浴びをしに下りていたり、落ち葉の積もったところではクロツグミが見られたり、夏鳥ではありませんが、コゲラが巣穴を掘っている姿が見つけられるでしょうか。
大山寺の手前、龍神堂辺りはミソサザイがしきりにさえずりを聞かせてくれます。
大山寺に続く急な階段は登らず、そのまま女坂を登ります。途中トイレもあります。バスを下りた場所、大山寺、下社とトイレが充実しているのも嬉しいポイントです。
大山寺から先はさらに急勾配な石段が続きます。鳥の種類はオオルリ、クロツグミ、センダイムシクイのさえずりが聞かれ、ヒガラやヤマガラ、エナガ、ゴジュウカラなどのカラ系の小鳥の群れやカケスやイカルの姿も見られます。アオゲラもよく声が聞かれます。
■クロツグミとの遭遇頻度が高いのは下社の手前!
ひと際急な石段を登り切ると、男坂と合流し、まもなく下社に到着します。合流地点の周辺はクロツグミのポイントになっています。休日・祝日などで人通りが多くても、道から一歩外れた落ち葉の積もった空き地はとても静かで、昼間でもクロツグミが現れることもあります。たとえさえずりが聞こえなくても、左右の斜面の落ち葉が積もったところなどでガサガサ採餌する音が聞こえないか要チェックです!
■下社手前分岐から見晴台へ
そのまま石段を登って行くと下社ですが、途中、右に分かれる道があらわれます。今回は、下社には行かず、右折して見晴台の方へ向かいます。
道に入ってすぐもクロツグミが地面に下りていたり、オオルリやキビタキ、センダイムシクイ、イカルなどが囀っていることもあります。
二重滝を通って見晴台への道はアオバトの哀愁漂う声が聞こえたり、ジュウイチ、ツツドリやヤブサメの声も聞かれます。クロツグミも多く、ミソサザイ、アカゲラ、アオゲラ、コゲラ、コガラ、ヒガラ、ゴジュウカラ、カケスなども確認できました。5月末になると、ホトトギスの声も盛んに聞かれるようになりました。
■見晴台からの下山は日向渓谷 or 下社に戻る
見晴台からは、元きた道を戻っても良いですが、日向渓谷へ下山するのも一手です。ただし、日向渓谷へ下りてから日向薬師までも延々歩くので、元の道を戻った方が楽です。
見晴台から稜線沿いの道を下っていると、ウグイスやオオルリのさえずりが聞かれ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラも周りを飛び回ります。
右手の開けたところにはホオジロやチョウゲンボウが見られます。
日向渓谷へ下りる九十九曲を下っている間、トラツグミのヒィーという物悲しい声が聞かれました。
登山道を下りると林道に出ます。余程体力に自信があれば、右手に登って行くとクロツグミやクマタカなども期待できますが、一刻も早く下山したいでしょうから、左手に下り、日向渓谷の沢の流れを聞きながら日向薬師に向かいます。日向薬師までは1時間ほど延々と林道を下ります。
途中、ミソサザイやオオルリのさえずりが疲れを癒してくれることでしょう。カワガラスやキセキレイも見られるかもしれません。
日向薬師からはバスが出ていますが、本数が少ないので、時間が余ったら日向薬師を参拝しても良いかもしれません。
日向薬師バス 時刻表(神奈川中央交通)
http://www.kanachu.co.jp/dia/diagram/search?k=%E6%97%A5%E5%90%91%E8%96%AC%E5%B8%AB&sd=&t=0&x=0&y=0
一般的なコースタイム
【上り】
大山ケーブルバス停から大山ケーブル駅 15分
大山ケーブル駅から大山寺 30分
大山寺から下社手前の分岐(女坂) 30分
下社分岐から見晴台 30分
【下り】
見晴台から日向薬師バス停 1時間40分
これからの季節ますます虫が増えていきます。とくに山にはブユという小さな羽虫がいて、度々手の甲を刺されて痒い思いをしました。
「着る防虫グッズ」のスコーロンやインセクトシールド、強い日差し対策のツバの広い「フィッシングハット」などを準備して、快適なバードトレッキングをお楽しみ下さい。
このエリアはヤマビルもいますので、吸われた時は無理に取ろうとせずに、避蛭剤やなければ塩を掛けるとすぐに剥がれます。食卓塩を携帯しておくと安心です。
すでに三度も登りましたが、未だにカメラマンやバーダーに遭遇しないところも魅力です。お目当ての鳥を自分で探すバードウォッチングの醍醐味を再確認してみませんか。
丹沢のガイド本としては「丹沢の自然図鑑(メイツ出版)」が詳しいです。
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