野鳥カメラマンのためのEOS 7D Mark II実践レビュー
先月末に発売されたキヤノンのEOS 7D Mark II(以後7D2)をフィールドに実戦投入してみましたので、今までの使い心地などをレビューしてみたいと思います。
とくに画質、AF、操作性について、野鳥撮影の視点から評価してみたいと思います。
期待感から前評判が異常なくらい高かったので、興味を持っている方や既に所持している方も多いと思います。
はじめに結論から言ってしまうと、良くも悪くも7D2は、EOS
7D(以後初代7D)を正常進化させた後継機という印象です。
■高感度耐性が上がった画質
高感度はたしかに一段は耐性が上がっている印象。具体的には、今までISO800を使うのはやや抵抗を感じていましたが、気にせず使えるようになり、ISO1600も十分許容範囲かなという感覚です。
それ以上のISO3200、6400もノイズをある程度覚悟すれば、早朝や日没後、暗い林床など高感度でしか対応できない場面で頼りになります。
"細かく"見れば初代7Dと同様ISO200や400でも僅かにノイズが見受けられますが、初代で気になった「ざらついた」感は、幾分抑えられています。
1810万画素から2020万画素に進化していますが、気持ちトリミング耐性が高くなったかな?という印象です。大きく実感できるほどではありませんが、確実に進歩しています。
■大きく進歩したAF性能、野鳥撮影には初期設定から一工夫必要!?
AF周りはMark
IIとなり、大きく進歩していると感じます。
とくに2倍のエクステンダーIII型とEF300mmF2,8L
ISIIとの組み合わせで、初代7Dの時には、もっさりとした動きをしていたのが、7D2になって1.4倍と変わらない動きになり、片付けの時になって「そういえば今日は2倍付けてたんだ!」と気付くことがあるほどです。
いくらAFが進化して、オールクロス65点AFや顔や色を認識して予期せぬ動きをする被写体にも追尾し続けるというEOS
iTR
AFを搭載しているとはいえ、野鳥撮影に関してはよほどの条件が揃わない限り、その恩恵に預かれるわけではありません。
例えば、空背景でゆったりと適度な距離を保って飛ぶミサゴやトビ、北海道でのオオワシ、タンチョウ撮影のような大きな被写体には有効ですが、カワセミが水面を飛んだり、チュウヒが枯れたヨシ原を背景に飛翔するシーンなどは、なかなかカメラの計算どおりに行かないのは初代7Dの時と同様です。
また、対象が小さい上に遠い野鳥の場合、狙いどおりに野鳥の目の部分にピタリとピントを合わせるのは機材の進歩をもってしても、いささか無理な話です。
■野鳥撮影のための測距エリア選択モード切り替え術
結局のところ、初代7Dの時と同様スポット1点フォーカスにして通称「親指AF※」で、フォーカスポイントが野鳥の目に合った瞬間にAFボタン連打してピントを喰い付かせるのが最も効果的なテクニックだと感じます。
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※「親指AF」設定とは?
通常シャッターボタンを半押しするとAFが動きますが、これではせっかくマニュアルフォーカスでピントを微調整してもシャッターボタンを押した瞬間にAFが駆動して、ピント位置が変わってしまいます。それを防ぐために、シャッターボタンを押してもAFは動作せず、AF
ONボタンを押さない限り、AFが動かないようにする設定です。
設定方法は、「操作ボタンカスタマイズ」の項目からシャッターボタン半押しの項目をAF・測光開始→AEロックに変更します。
慣れるまでは違和感があると思いますが、慣れたら元には戻れません!
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ただし飛び回ったり、動き回る鳥の場合は、スポット1点フォーカスポイントでは、捉えるのが困難なので、被写体に合わせて領域拡大(周囲)やさらに広いラージゾーン辺りを選ぶと捉えやすくなります。
フォーカスエリアが広い方が捉えるのは楽になりますが、カメラが目当てのフォーカスポイントを選ぶ確率も下がってしまうので、被写体に合わせて対応可能な範囲で狭い測距エリア選択モードを選ぶことがポイントです。
測距エリア選択モードが7パターンの中から選べるのは良いのですが、初期設定ではモードを選んでいるうちに野鳥がいなくなってしまうのがオチです。
止まりものと飛びものが混在するような場面では、「測距エリア選択モードの限定」を利用して、より素早く切り替えられるようにしておくと良いでしょう。
私の場合は、
[スポット1点]
[1点]
[領域拡大(周囲)]or[ラージゾーン]
の3パターンほどに限定します。
さらに、
切り替え方法は、初期設定では測距エリア選択ボタンを押し、測距エリア切り替えレバーで切り替える手順になっており、実戦ではファインダーを覗いたままでの操作がもたつくので、
測距エリア選択レバーダイレクト選択に設定し、シャッターボタン半押しした後、測距エリア選択レバーをカチカチ動かして切り替えて行けるように設定します。
切り替え操作を単純にし、測距エリアパターンを限定することで、時間を短縮し、野鳥撮影に対応できるようになります。
次回は、実写編です。画像を見ていただくのが、7D2の実力を測る手っ取り早い方法だと思いますので、ご期待下さい。
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