野鳥カメラマンのためのEOS 7D Mark II実践レビュー 実写編
話題のキヤノンのAPS-Cセンサー機待望のフラグシップデジタル一眼レフカメラ「EOS 7D Mark II(以下7D2)」をフィールドに実戦投入し、野鳥撮影での使い勝手や画質を検証する今回のレポート、実写編です。
■実写!
さて、手始めに家の近くの川で、目の前を横切るイソシギの飛翔を狙いました。
イソシギ EF300mm F2.8L ISII +
EF×2.0 extender III
ラージゾーン
測距エリア選択モードは、はじめ65点自動選択にしたところ、被写体を今ひとつ捉えてくれず、ラージゾーン中央に変更し、AFの反応も遅かったので、AIサーボの設定を弄ってみました。
■カスタム設定ガイド機能は、模索中...
カスタム設定ガイド機能はCASE1からCASE6まであり、すべて細かく試した訳ではありませんが、解説を見る限りはCASE2の「障害物が入るときや、被写体がAFフレームから外れやすいとき」が良さそうで、実際の使用上も特に問題も感じないので、それを選択しています。
それ以上に重要なのが、詳細設定で現れる項目のうち[被写体追従特性]と[速度変化に対する追従性]を〝+側(俊敏)〝にセットすることで、AFの喰いつきが良くなり、よりしっくり来るようになりました。
ここらへんの設定はもう少し弄り倒して、様々なシチュエーションでテストが必要かなと感じますが、今のところ不満なく使えています。
・被写体 ハイイロチュウヒ
端から近距離で撮れないだろうと、300mmF2.8L ISIIに2倍のエクステンダーIII型で挑みました。AFは中央スポット1点フォーカスを使用。
空抜けはAF測距エリア選択をラージゾーン辺りに切り替えれば良かったと後悔したことから、先述のAF測距エリア切り替え術につながることに。
エクステンダー2倍を付けているとは思えないAF速度に驚愕!写りも十分使える画質。2倍エクステンダーの出番が増えそうです。
・コチョウゲンボウ
咄嗟に三脚を出せる状況ではなく、300mmF2.8L
ISII+2倍エクステンダーIII型を付けて手持ちで撮影しました。AFは中央スポット1点フォーカスで目に合わせました。ISO800でシャッタースピードを1/1000確保し、ブレずに撮影できました。
・カヤクグリ
400mmF5.6Lを手持ちで撮影。
観光で訪れた箱根の大涌谷でカヤクグリと遭遇。手持ちでもこれだけの解像をしてくれるのですからこのレンズは手放せません。IS(手振れ補正機能)は付いていませんが、高感度に強くなった7D Mark IIと組めば相性抜群!サンニッパ要らないかも?と考えてしまうほどです(笑)
■ファインダーも使いやすく進化
ファインダーは、5年ものの初代7Dとの比較となってしまいますが、膜を一枚剥がしたように明るくクリアになった印象。ファインダーの進化以上に恩恵を感じたのが、ファインダーに常駐して表示される水準器機能です。とくに手持ちでの撮影で、シャッターを切る瞬間も常に水平状況を把握することができるのはとても心強く感じます(非表示も可)。
■欠点はバッテリーのもち
初代7Dと比較して、ほとんどの箇所で進化を遂げている7D2ですが、欠点を挙げるとすれば、バッテリーのもちの悪さです。
バッテリー自体は初代7Dの「LP-E6」→「LP-E6N」になり、容量もアップしているのですが(従来の「LP-E6」も使用可)、実際に使ってみると...
初代7Dの時は、2日程度はバッテリー切れせずに使えていたのが、7D2では、1日持たずにバッテリー切れとなってしまうことが度々あり、閉口させられました。
原因は7D2で新たに加わったGPS機能による部分が大きいようです。GPS機能は撮影した画像のExif情報に位置情報を入れたり、電源OFFの状態でもカメラの位置情報を一定の間隔で記録でき、専用ソフトを使えば撮影終了後に今日巡った行程が分かるというGPSロガー機能もあったりして、面白くてつい使いたくなりますが、電源を切ってもGPS衛星の位置を補足する動作を続けるためか、バッテリーの消費量が格段に増えるようです。
また、GPSロガー機能を"しない"にしていても、GPSの設定が"使う"になっていると、常にGPSが動作しているようで、バッテリーの減りの早さは変わらないように感じます。
GPSが¨使う¨になっていると、電源OFFになっていてもGPSの機能が働いているためか、翌日の撮影の際に本体がほんのり暖まっていることがあり、焦ったこともありました。
GPS機能は、予備バッテリーに余裕がある時や必要な時だけに留めた方が無難でしょう。
ワンタッチでGPS機能をON/OFFできるともう少し使い勝手良くなると思うので、My Menuに登録するなどして、すぐに設定できるようにしたいものです。
ちなみに、下の画像は、よく使用するカードの初期化やISO感度設定、記録画質に加えて、GPS設定をMyMenuに登録した例です。
GPS以外には「EOS iTR
AF」のセンサーもバッテリーを喰うという話も耳にします。AFに頼らず、マニュアルフォーカス主体で使っているのであれば、使わないのも手かもしれません。
■総評
7D→7D2の進化は、一見地味に感じるかもしれません。
単純に画質だけに関していえば、同じシチュエーションで並べて撮り較べたとして、果たして7Dと7D2との違いが明白に分かるかというと、正直見分けられる自信がありません。
では何が7D2の魅力かと問われれば、それは写真を撮るまでの過程が格段に快適になったことと答えます。
具体的には...
AF性能の進化から、ファインダーの水準器機能、耐高感度性能の改善など、撮影をサポートする機能や性能がしっかりと強化されたことです。
結果的に撮影できる画像の幅が広がることにつながるのだと思います。
7D→7D2に替えた当初はもしかするとあまり恩恵を感じないかもしれませんが、何回か使ううちにふと初代7Dを取り出してみると、とても違和感を感じ、元には戻れなくなるのが、7D2の不思議なところであり、5年分の進化の表れだと感じました。
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